2010年 古い記憶に新しい傷 [短歌・本]
寅年…虎は好き。草森紳一さんも好きだった
大いなる爪と顎《あぎと》があればこそあこがれるその孤独に 虎よ
船橋港の霧笛を聞きながら朝ごはん
深奥より呼ぶとき君はただにわが海霞《ハイシア》という名をよびたまう
水仙はほっておいても殖えるのと微笑んだひとへ、魔女はあたしです
あのあと、ずっと役者さんの家にあるんだろうか
耳ひとつ落ちていたのを舐めながら どこかで聞いた話だこれは
アメリカにファミリーというものあると森に泉があるように、あると
刺を抜くはずだったのに傷口から歯車が取り出されて光る
沼底をあるく田螺《たにし》が裏返り触手のばして告げたコニチワ
はやぶさが帰ってきたんだ初夏をとどろと鳴らす雷連れて
田中一村展@千葉市美術館
お茶ノ水から取り寄せた顔料を黄色い缶に仕舞ってふらり
本に雨 鳥もパン屑も上衣《ジャケット》のなかに抱えて走る霜月
細い足場を鳩があるいてくる朝だこの手に世界滅亡ボタン
2010-12-22 12:08
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ブログをさぼっていた今年の作品をまとめてみた。
by gogayuko (2010-12-22 12:15)